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コーディング · アルゴリズム

ビッグオー記法(計算量)を例でわかりやすく解説

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結論

ビッグオー記法は、入力サイズ n が大きくなるにつれてアルゴリズムの実行時間やメモリ使用量がどのように増えるかを表す記法です。最も速く増える項だけを残して定数を捨てるため、3n² + 5n + 2 ステップは O(n²) と書きます。代表的なクラスを速い順に並べると O(1)、O(log n)、O(n)、O(n log n)、O(n²)、O(2ⁿ) です。特定のマシンで実行しなくても、アルゴリズム同士を比較できます。

ビッグオー記法が解決する問題

プログラムの実行時間を秒で測っても、わかるのは特定のマシン・言語・入力での結果だけです。ビッグオー記法は、もっと役に立つ問いに答えます。入力が10倍になったとき、仕事量はどれだけ増えるのか、という問いです。仕事量が10倍になるアルゴリズムと100倍になるアルゴリズムでは、規模が大きくなったときの振る舞いがまったく違います。

厳密には、ある定数 c と n₀ が存在し、n ≥ n₀ のすべての n について f(n) ≤ c · g(n) が成り立つとき、f(n) は O(g(n)) であるといいます。平たく言えば、n が十分大きいとき、定数倍を無視して g が f の増加の上限になっているということです。

  • n は入力のサイズです。リストの長さ、文字列の文字数、グラフのノード数などを指します。
  • 時間計算量は、基本的なステップ(比較・代入・算術演算)の回数を数えます。
  • 空間計算量は、入力そのものを除いて追加で使うメモリ量を数えます。

式を簡略化する方法

ステップ数を n の関数として数え、次の2つのルールを適用します。定数倍を捨て、支配的な項だけを残すことです。

正確なステップ数適用するルールビッグオー
5定数O(1)
3n + 103 と 10 を捨てるO(n)
n²/2 + n/2n² を残し、1/2 を捨てるO(n²)
2n log n + 100nn log n は n より速く増えるO(n log n)
n³ + 2ⁿ2ⁿ は n の任意のべき乗より速く増えるO(2ⁿ)

独立した入力が2つあるアルゴリズムでは、両方を残します。長さ n のリストをループしてから長さ m のリストをループすると O(n + m)、ループの中にループがあると O(n · m) です。対数の底はビッグオーでは関係ありません。log₂ n と log₁₀ n は定数倍しか違わないからです。

代表的な計算量のクラス

クラス名前n = 1,000 のときのステップ数典型的な例
O(1)定数時間1items[i] の読み取り、dict のキー検索(平均)
O(log n)対数時間約10ソート済みリストでの二分探索
O(n)線形時間1,000リストの最大値を探す
O(n log n)線形対数時間約10,000マージソート、Pythonの sorted()
O(n²)二次時間1,000,000すべてのペアを比較する、バブルソート
O(2ⁿ)指数時間302桁の数すべての部分集合を試す
O(n!)階乗時間さらに桁違いに大きいすべての並べ方を試す

大まかな目安です。現代のコンピュータでは、単純なループはPythonで毎秒数千万ステップ、コンパイル言語ならそれよりずっと多く実行できます。そのため、O(n log n) なら数百万件でも問題なく、O(n²) は数万件あたりから遅くなり、O(2ⁿ) は40〜60件を超えると現実的ではありません。

Pythonコードから計算量を読み取る

まずループに注目します。入力に対する単一のループは O(n)、同じ入力に対するループの入れ子は O(n²)、残りの範囲を毎回半分にするループは O(log n) です。

def first(items):            # O(1): one step, whatever the size
    return items[0]
def total(items):            # O(n): touches each item once
    s = 0
    for x in items:
        s += x
    return s
def has_duplicate(items):    # O(n^2): compares every pair
    for i in range(len(items)):
        for j in range(i + 1, len(items)):
            if items[i] == items[j]:
                return True
    return False
def halvings(n):             # O(log n): n is halved each step
    steps = 0
    while n > 1:
        n //= 2
        steps += 1
    return steps
print(first([7, 8]), total([1, 2, 3]), has_duplicate([1, 2, 1]), halvings(1024))
# 7 6 True 10

ライブラリ呼び出しにも固有のコストがあります。x in some_list は O(n)、x in some_set は平均 O(1)、list.insert(0, x) は全要素がずれるため O(n)、sorted() は O(n log n) です。O(n) の操作を n 回呼び出すループは、一見ひとつのループに見えても O(n²) になります。

def has_duplicate_fast(items):   # O(n) time, O(n) extra space
    seen = set()
    for x in items:
        if x in seen:            # average O(1) set lookup
            return True
        seen.add(x)
    return False
print(has_duplicate_fast([3, 1, 4, 1, 5]))   # True
print(has_duplicate_fast(list(range(10))))   # False

最良・平均・最悪のケース

同じアルゴリズムでも、同じサイズの入力によって仕事量が変わることがあります。そのため、計算量は3つのケースで示されることがよくあります。

アルゴリズム最良平均最悪
線形探索O(1)、目的の値が先頭にある場合O(n)O(n)、目的の値がない場合
挿入ソートO(n)、すでにソート済みの場合O(n²)O(n²)、逆順の場合
クイックソートO(n log n)O(n log n)O(n²)、ピボットが悪い場合
ハッシュテーブルの検索O(1)O(1)O(n)、衝突が多い場合

単に「X の計算量」と言うときは、たいてい最悪ケースを指します。ハッシュテーブルやクイックソートでは平均ケースを指すこともあります。償却計算量は4つ目の考え方です。Pythonのリストへの追加は、内部の領域を拡張するときだけ O(n) になりますが、多数回の追加を通して平均すると O(1) です。

ビッグオー、ビッグオメガ、ビッグシータ

記法意味例
O(g)上界:g より速くは増えない線形探索は O(n)
Ω(g)下界:少なくとも g と同じ速さで増える比較ベースのソートは最悪ケースで Ω(n log n)
Θ(g)厳密な界:O(g) かつ Ω(g)マージソートは Θ(n log n)

厳密には、O は上界にすぎないため、O(n) のアルゴリズムは O(n²) でもあります。日常的にはビッグオーと書きつつ、知っている中で最も厳密な界を意味することが多く、それを正確に表すのが Θ です。

よくある間違い

  • 組み込み操作のコストを忘れること。たとえばリストへの in や、スライス items[1:] はコピーが発生し、k 要素のコピーなら O(k) です。
  • 再帰呼び出しの数え間違い。n − 1 に対して自分自身を2回呼ぶ関数は O(n) ではなく O(2ⁿ) です。
  • 空間を無視すること。サイズ n の新しいリストを作ったり、深さ n の再帰を行ったりすると、O(n) のメモリを消費します。
  • O(2n) や O(n + 5) と書くこと。どちらも O(n) に簡略化できます。

よくある質問

O(1) とはどういう意味ですか?

O(1) は定数時間を意味し、入力サイズが増えても仕事量が増えません。リストの要素をインデックスで読み取る操作は、要素が10個でも1,000万個でも O(1) です。

O(log n) は O(n) より速いですか?

はい、n が大きい場合はそうです。入力が2倍になっても、O(log n) のアルゴリズムはステップが1つ増えるだけですが、O(n) のアルゴリズムは仕事量が2倍になります。100万件の場合、log₂ n は約20です。

Pythonの sorted() の時間計算量は?

Pythonの sorted() と list.sort() は最悪ケースで O(n log n)、すでにソート済みの入力では O(n) で、追加で O(n) のメモリを使います。

ビッグオーは秒数を測るものですか?

いいえ。入力サイズに対して仕事量がどう増えるかを測るものです。実際の秒数は、マシン、言語、そしてビッグオーが無視する定数倍に左右されます。

時間計算量と空間計算量の違いは何ですか?

時間計算量はアルゴリズムが行うステップ数を、空間計算量は必要な追加メモリを数えます。どちらもビッグオーで表し、たとえば集合(set)を使って時間を節約するように、一方を犠牲にして他方を改善することがよくあります。

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